今回は、国内No1の300店舗を抱えるはんこ・印鑑専門店フランチャイズ「はんこ屋さん21」について見ていきましょう。運営会社の株式会社グレエイトは、1995年から20年以上、フランチャイズ事業を継続しています。

※2019年1月時点、グレエイトWEBサイトから抜粋

競合のはんこ・印鑑専門店フランチャイズとしては「はんこスーパー」や「はんこ広場」などが挙げられますが、「印鑑 フランチャイズ」と検索すると検索結果の1ページ目がほぼはんこ屋さん21で埋まるくらい、1つ抜けている印象があります。

はんこ屋さん21は、印鑑市場にとらわれない業態

現在、はんこ・印鑑業界の市場規模は約2,800億円程度と言われており、これだけ見ると他業態のフランチャイズが狙っている市場と比べて見劣りします。

しかし、はんこを「印字サービス」「印刷サービス」と捉えることで、狙う市場は印刷業界となり、3兆6,400億円まで市場規模が跳ね上がります。

印刷市場の推移自体は毎年横ばいか、やや減少気味ではありますが、そもそもの市場規模が大きいこと、需要が簡単にはなくならないであろうことから、参入者にとっては堅いビジネスだと考えることもできます。

つまり、はんこだけであれば市場規模も小さく、中期的には電子印鑑などに取って代わられる可能性もありますが、印字・印刷の視点でサービスを展開できればまだまだ伸びる余地はある市場だと言えるでしょう。

はんこ屋さん21は印字のラインナップも豊富

はんこ屋さん21はその名前から一見はんこ・印鑑のみを取り扱うお店と思われますが、個人向けの表札やウェアプリント、法人向けの社員証やショップカード、店舗向けの看板やのぼり、販促品としてのうちわやボールペンなど、印字に関わるあらゆるラインナップを整備しており、技術を上手く転用して広く展開しています。

多岐にわたる商品の中で、どう単価を上げていくかがキモ

はんこ屋さん21は、「トータル商売繁盛ツールのコンビニ」というキャッチコピーを謳い、全国の中小企業や個人商店に対し、「小ロット」「短納期」「低価格」「カスタマイズ可能」という柔軟な対応を一般的な印刷会社との差別化ポイントとしています。

そのため、1つ1つの単価は低くなる傾向にあり、どのような商品をセットで提案できるか、どのようなサービスも対応可能だと打ち出してリピーターになってもらうかが事業継続のポイントと言えそうです。

はんこ屋さん21はデータ収集のための顧客管理システムを独自に持っており、商品別売上順位や商品単価、販促活動の解析を本部が実施し、そのマーケティングデータを持って月1回、店舗と改善会議を行います。

売れ筋商品とそれを活かした販促方法を把握することができるだけでなく、各店舗のお客様の購買動向も分析し、マーケティングデータと結びつけて提案につなげることができるため、単価や受注アップを見込むことができそうです。

店舗がなくても開業可能!条件が選べるパターン

はんこ屋さん21は店舗ビジネスのため、店舗を開業するとなると固定費がかかってしまいますが、物件取得に初期投資しなくても良いプランが整っています。

  • 加盟金:100万円
  • 保証金:50万円
  • 研修費用:60万円
  • 初期商材:90万円

 

<フランチャイズAタイプ(店舗を自分で準備)>

  • 開店準備金:100万円
  • ロイヤリティ:5万円(月額)

<フランチャイズBタイプ(店舗を本部が準備)>

  • 開店準備金:50万円
  • B契約委託金:50万円
  • ロイヤリティ:8万円(月額)

引用:https://www.fc-hanko21.com/practice_funds/

いずれも、400万円の初期費用が発生します。Aタイプであれば、店舗の内装・外装費も別途用意しなければならないため、初期投資は決して安くありません。280万円で立ち上げを行う小商圏パッケージや、営業中の店舗の空いたスペースを利用し、初期費用150万円、加盟金やロイヤリティを0円に抑える複合パッケージもありますが、既にビジネスの柱を1つ確立している人向けでしょう。

ただ、収支モデルによると月商が150万円程度で粗利が63%取れる予測が出ています。これは、流通や製造センターを本部直営で持っていること、店内での製造直売も可能になること、印刷はロットが効くので粗利を上げつつも原価を抑えることができること、毎月、毎年のような継続的な依頼が多いことが要因として挙げられるでしょう。

加盟希望者はどのようなデータを用いてどのように顧客単価を上げたり、提案したりするのか、成功事例などをよくよく聞いた上で意思決定をすべきですね。
 

印鑑専門店フランチャイズとはんこ屋さん21に関する総括

はんこ・印鑑ビジネスはその強みを「印字」「印刷」とすることにより、市場もサービス提供範囲も格段に広くなります。どのようにデータを組み合わせ、提案するかが1店舗1店舗の収益化に影響してきそうです。

その中で、はんこ屋さん21は名称にもある「はんこ屋さん」だけでなく時代に対応したいくつものラインナップを用意し、データ分析の体制も整えて20年以上展開してきています。今後も業界をどのように定義し直して収益化につなげていくのか、注目です。