今回は、国内13,992店舗を抱える売上高業界No2の大手コンビニフランチャイズ「ローソン」について見ていきましょう。運営会社の株式会社ローソンは、財閥系商社である三菱商事の子会社で、ローソンの他にナチュラルローソン、ローソン100といったブランドを展開しています。

※2019年1月時点、ローソンWEBサイトから抜粋

競合のコンビニフランチャイズに「セブンイレブン」や「ファミリーマート」などが挙げられますが、ローソンは前述の「ナチュラルローソン」のようなセカンドブランドを打ち出すなど、独自色で勝負をしている印象もあります。

店舗数が今なお伸び続けるコンビニ業界の現状とは?

現在、コンビニ業界の市場規模は10兆9,646億円と言われており、前年からの伸び率が2.6%にのぼるなど、今なお成長市場であることは間違いありません。

ライフスタイルの多様化により外食ニーズが向上し、店内調理品などの惣菜系が好調に推移したことが市場成長の要因として挙げられます。売り上げももちろん好調ですが、コンビニ全体の国内店舗数も2018年に過去最大を記録しており、このあたりで飽和か…と言われた後も市場を伸ばしてきています。今後も成長を続けるかは分かりませんが、扱う商品が多岐にわたるため、いきなり市場自体が落ち込むことは考えにくいでしょう。

コンビニフランチャイズ加盟者の視点としては、店舗を実際に運営するアルバイトスタッフを雇用することが多いですが、業務の特性上、特別な技術が不要で、人を採用する難易度も高くないため、そういった面も含めて参入しやすい業態だと言えます。

その中で、ローソンは店舗数こそセブンイレブン、ファミリーマートに次ぐ3位ではありますが、売上高ではファミリーマートを超え業界No2となっており、1店舗あたりの収益性が高いのが特徴です。
※コンビニ業界は上記3店舗で業界シェアの8割を占めています。

店舗数

参照:JFA正会員コンビニエンスストア本部の各社WEBサイトより

  • セブンイレブン
  • ファミリーマート
  • ローソン
  • ミニストップ
  • デイリーヤマザキ
  • セイコーマート
  • ポプラ

コンビニ経営は、経費をいかにコントロールできるかがキモ

コンビニ経営には「三大経費」と呼ばれるものがあります。

1つ目は人件費。店舗運営のアルバイトなどにかかる費用です。コンビニは基本的に24時間営業である以上、人件費を抑えすぎても無理がきかなくなりますし、増やしすぎると無駄な費用が膨らみます。いかに採用・配置のバランスを取るかが大切です。

2つ目は廃棄ロス。商品が売れ残り、廃棄することになると、仕入れ値の分だけ損をします。しかし、廃棄ロスを恐れて仕入れを少なくすると品薄になり、機会損失となってしまいます。いかに廃棄ロスを抑えて売上を最大化するかが大切です。

3つ目は棚卸減耗費。万引きやレジ打ちミスなどで帳簿上の在庫と実際の在庫で数字が合わず、結果的に損をしてしまうことです。事故をいかに防ぐ仕組みをつくるかが大切です。

コンビニは商品を含めたサービス内容が競合他社と大きく変わらず、本部の決定の影響が大きくなることから、売上を大きく伸ばすというよりも3大経費のバランスを大きく崩さないことが安定経営のポイントとなりそうです。

ローソンのフランチャイズは支援制度が充実

ローソンでは「新店廃棄支援制度」というものがあり、新規開業店舗は商品廃棄を6ヶ月目まで70%、7~12ヶ月目まで50%まで本部が負担してくれます。更に、新店出店時にクルー募集費用の一部が本部負担となります。

三大経費を意識したサポートを行っているという点は、今後の経営についてもしっかり相談に乗ってくれそうなイメージを受け、加盟者側としては心強いですね。

低コストと充実のサポートを受けながら始められるローソン

ローソンは、コンビニ大手3社の中で、最も初期投資が割安です。

加盟金1000,000円
開業準備手数料500,000円
その他準備金0万円
ロイヤリティ売上総利益が300万以下の場合は45%、300~450万円以下の場合は70%、450万円を超える場合は60%

参照:ローソン「コンビニ経営で独立開業を目指すなら」より

セブンイレブンやファミリーマートは加盟金と開業手数料は合計100~150万円、経営が軌道に乗るまでのその他準備金が150万円必要とされております。

一方、ローソンはその他の費用は発生しない上に、土地建物は本部がすべて用意し、お店の近くに住むための引っ越し支援金が100万円も用意されています。更に、特定の条件下で加盟金の100万円が全額免除になる新制度も用意されているとのことで、独立を検討している方には嬉しいですね。

ロイヤリティ面も売上総利益に応じて70%以上にまで割合が上がるセブンイレブンに比べると割安に設定されています。
※ファミリーマートは契約形態によってロイヤリティの割合が大きく変化するため、比較が難しそうです。

また、ローソンでは複数店経営の支援に力を入れており、実際に加盟者の40%程度が複数店舗を経営しています。また、本部のサポート体制として2店舗目を出店する際の準備金50万円を免除するシステム、出店時奨励金として150万円が支給されるシステムなどがあります。

安く始め、利益を複数店舗にどんどん投資し、比較的短期で多店舗のオーナーとなる、といった野望を持つ方にはそそられる内容ですね。

コンビニフランチャイズとローソンに関する総括

ライフスタイルの多様化に伴い、消費者に合わせて変化を続けるコンビニ業態。まだまだ成長の余地を感じさせます。市場は業界大手3社の寡占状態ですが、だからこそその3社で独立起業しようという方には手厚いサポートが見込まれることは魅力的ですね。

ローソンはサービスとして以上に、フランチャイズ本部として他社と異なる独自路線を打ち出し、明確に差別化を図ってきているように見えます。低コストでコンビニ業態を始めたいのであれば、検討してみてはいかがでしょうか。