今回は、全国240店舗、総勢約1,000名のスタッフを抱える大手便利屋フランチャイズの「お助け本舗」について見ていきましょう。運営会社の株式会社アシストリンクは、フランチャイズチェーンの構築支援をメインに活動しているようですが、自社運営のフランチャイズとしては「お助け本舗」のみ。2011年からこの事業をスタートしており、他のフランチャイズは展開しておりません。

※2019年1月時点、アシストリンクWEBサイトから抜粋 
WEBサイト:https://otasuke365.co.jp/

競合のフランチャイズとしては「町の便利屋さんファミリー」や「ベンリー」などが挙げられますが、知名度やインターネット検索では「お助け本舗」の文字を見る機会が圧倒的に多い印象です。

困りごとを相談できる身近な存在~便利屋市場の伸び代は?

現在、日本では人口の約4人に1人が65歳以上の高齢者と言われており、高齢者のみの世帯数が1136万世帯、うち半数の552万人が1人暮らしをしています。

特に1人暮らしの高齢者は、家具の組み立てや大掃除のような力仕事はもちろん、買い物や行列の代行など、体力に負担のかかる困りごとを抱えており、代行してもらえると助かるのが本音。こういった背景もあり、ジャンルを絞らず24時間365日一律料金で困りごとに対応してくれる生活に密着した便利屋の需要は昨今高まっており、市場規模は1兆円を超えるとも言われます。

参照:厚生労働省「今後の高齢者人口の見通し」より

厚生労働省のデータによると、2055年には65歳以上の人口の割合が全人口の4割近くに達すると予測され、今後も市場として伸び続ける可能性が高いです。緊急の困りごとを解決するという特性上、景気に左右されることも少なく、独立を考えている方にとっては参入しやすい業態と言えるのではないでしょうか。

便利屋フランチャイズの鍵は信頼感!知名度がキモに

便利屋は「なんでもできる」ことがウリである反面、「何をやっているのか」「どんな人が来るのか」「本当になんでも対応してもらえるのか」という点が見えづらく、競合との差別化も難しくなります。それゆえ、フランチャイズのようなブランドそのものに対する信頼感が命です。

お助け本舗の本部はその点を汲んで、広告塔に元大相撲力士・舞の海氏を起用し、明るく力強いイメージを全面に押し出すとともに、テレビ、ラジオ、雑誌、チラシ、WEB広告と、多数の媒体に露出をすることで知名度を上げ、信頼度を高めています。

依頼種別として多いのは、「家具の移動・配置・組み立て」「引っ越し手伝い」「不用品処分手伝い」「掃除」「庭仕事」「買い物や並び代行」など。珍しいものとしては、「パーティの代理出席」などの数合わせの依頼もあり、幅広く対応することで信頼を積み上げることができます。

また、お助け本舗では依頼種別関係なく1時間3,000円、出張費2,000円、車両代3,000円という価格で請け負っており、ユーザー側からすると、見えないところで追加料金などを取られる心配が軽減されるのは嬉しいところで、この明朗価格も信頼感を高める要因となっていそうです。

ロイヤリティをカバーする継続的なお客様が重要

便利屋は無店舗で営業可能なビジネスであるため、フランチャイズ加盟の初期費用は他業態と比較すると割安です。

代理店加盟費102,857円
開業実務研修費71,999円
販促・書類一式802,285円
初期費用総額977,141円
商標使用料月額51,428円(固定)

特殊な技術も不要なので、研修期間も比較的短く、すぐに売上を立てることができます。

一方、ロイヤリティに当たる商標使用料の51,428円が継続的に発生するため、本部からの紹介が少ない場合や、1件当りの単価が低い案件が続いた場合は、自分で案件を取ってこなければなりません。

チラシを撒いたりWEB広告をかけたりしようとするとどうしても費用が発生してしまいます。そのため、一度対応したユーザーの方にいかにリピートしてもらえるか、いかに紹介を出せるかがが事業継続のために重要になってくると言えるでしょう。

お助け本舗の収益モデル

収益モデルの詳細は見つかりませんでしたが、フランチャイズ比較.netでは月商92万円と記載があります。仮に92万円を稼働日数25日で割ると、1日あたり約3.7万円。
お助け本舗の価格基準で考えると、

例その1
1時間3,000円×2時間×3案件=18,000円
車両代+出張料5,000円×2案件=10,000円
合計28,000円
例その2
1時間3,000円×3時間×3案件=27,000円
車両代+出張料5,000円×3案件=15,000円
合計42,000円

なので、収益モデルに達するためには1日2~3案件、25日で50~75案件をこなす必要があります。もちろんもっと大きな単価の案件も入ってくるとは思いますが、素人目には、全国240店舗に対してこんなに案件紹介が出るのかな?と疑問ですよね。数字面を見ても、やはり自己開拓やリピーター化は必要そうです。

便利屋フランチャイズとお助け本舗に関する総括

お助け本舗のホームページによると、現在は人手不足のため、依頼の約65%しか対応できていないそうです。前述した市場状況もあり、利用者数の増加を見越して先行者利益を取りに行けるのは、独立志望者にとっては魅力的ですね。

一方で、対応できなかった35%の依頼は例えば単価が低いとか、無茶な要望だとか、何らかの理由があるかもしれません。具体的に加盟を検討する場合は、そのあたりの内部事情もよくよく考えて意思決定すると良いでしょう。