まず初めに

そもそも、襖・網戸・障子を張り替えるニーズなんて存在するのだろうか。
私自身、今まで襖・網戸・障子を張り替えた経験も、張り替えているところを見たこともないかもしれない。

薄ら覚えで、小さい頃に田舎の祖父母宅で障子が破れていて、父か誰かが張り替えていたことがあったような気もしないでもない。

それくらい、襖・網戸・障子を張り替えるなんてことは考えられないし、考えたこともない。

とは言え、ここ数年間で加盟店が急増している事実と、全国に多くの加盟店オーナーが存在している金沢屋が気になるので、もう少し深堀して調べてみようと考え、情報収集をしてみた。

金沢屋の評判を調べた情報収集先(ソース)

おそらく金沢屋が運営しているであろうと思うわれるウェブサイトで、多くのオーナーインタビューがされているサイトを確認してみた。
サイトを見る限りでは、そこまで昔から運営しているものではなく、順次オーナーにインタビューをして情報を増やしているように感じる。

金沢屋オーナーインタビュー

随時更新されているようだが、オーナーの生の声が見ることが出来て参考になった。

開業しているオーナーの独立の経緯<30代>

金沢屋の募集サイトでは20歳代の方でも活躍しているようだ。
だが、情報元で見る限りでは30~40代のオーナーさんが多いように見受けられた。

30代で独立。
なかなか勇気のいることだと思う。
30代前半なのか中盤なのか後半なのか、それがどのタイミングなのか、結婚しているのか独身なのか、子供がいるのか、実家なのか、考えれば考えるほどにその人のライフステージによって独立に向けて心の準備も家族や周りへの説得も必要になってくるのだろう。

ひとつひとつ見ていこうと思う。

金沢屋桶川店のオーナーさん

その方は30代前半の方(加盟前は30手前)で、失敗してもやり直しが利くということで独立を決断したそう。
加えて、実家が大工だったこともあり、知らない仕事ではないということも大きかったようだ。

金沢屋瀬戸店のオーナーさん

長年営業職をされていたようで、営業自体も自分にあっていたらしい。
時間の経過とともに、独立願望を持ち、会社に属さずに自分で仕事をしたいと思ったのがきっかけのようだ。

いくつか見ている限りでは、もう開業してから5~6年経過しているとのことだったので、フランチャイズ内ではベテランオーナーさんなんだろう。

長年の営業職の経験から、最終的な決断は、商材・ビジネスが面白そうというところをインスピレーションで決断したように感じた。

とは言え、お子さんが3人いらっしゃった中での独立なので、死ぬほど反対されたとコメントされている。
強い意志で反対を押し切り、現在も営業されていることは、ものすごいことだ。

金沢屋仙台北店のオーナーさん

18歳より飲食店で勤めていらっしゃったとのこと。
飲食店一筋でやってきたオーナーさんだが、インタビューの内容から想像するに仕入れや仕込みやら様々なお仕事をこなさなければならず長時間労働が、家庭とのバランスが取れないことが独立のきっかけだったようだ。

そこで、親戚の叔父さんが金沢屋に加盟しており、声を掛けてもらったそう。
そもそも、既に金沢屋のビジネス自体でうまく行っているからこそ、甥っ子さんへ声を掛けたのだろう。

そういう意味では珍しいケースなのかもしれない。

金沢屋半田店のオーナーさん

出身は沖縄で、お仕事を転々としていたようだ。
インタビューいわくサラリーマンが合わなかったんだろう。

経験された仕事の中で、リフォーム会社で勤めていて、金沢屋の張り替えの仕事でリフォームへ繋げていけるということが大きなきっかけだったそうだ。

サラリーマンが合わなかったことと、そもそも独立志向が元々あった方なのかもしれない。

開業しているオーナーの独立の経緯<40代>

40代で独立は30代での独立とは訳が変わってくると思う。
それなり以上のキャリアや経験があれば転職も可能かもしれないが、一旦キャリアを捨てて独立し、失敗した後にサラリーマンに戻るなんて並大抵のことではないことは想像が付いてしまう。

また、家庭のある方も多いだろうし、周囲からの反対も多そうだ。

金沢屋茨木店のオーナーさん

会社員を15年ほど勤めて、独立したそう。
父親が経営者であったこともあり、もともと独立願望はあったけれど、何の仕事をすればよいか決められず独立まで時間がかかったようだ。
サラリーマン時代のキャリアと経験を通じて、金沢屋のビジネスモデルに期待を持てると判断し加盟に至ったとのこと。

金沢屋折尾・黒崎店のオーナーさん

20年間パン屋さんで勤めていたとのこと。
アンパンマンのジャムおじさんよりは歴史は浅いかもしれないが、それでも20年とは相当な経験だ。
パン屋さんと聞くと、なんだが穏やかで可愛らしい仕事に感じるが、なんのその。
超絶肉体労働だった様子。

その後、デスクワークをするようになったようだが、やっぱり直接お客さんの声が聞ける仕事が良いと思い、独立するという選択肢を考え始め、独立に至ったようだ。

金沢屋橿原・桜井店のオーナーさん

インタビューによると、10年働いたら独立する前提でサラリーマンを修行期間として考えて勤めていたそう。
更には、畳メーカーの営業をしていたようで、襖・網戸などには慣れていたそう。

畳メーカーで法人営業だった、法人よりは個人のお客さんと商売をしたい。
慣れ親しんだ業種で和室という共通点があること、それが独立・加盟のきっかけだったそうだ。

金沢屋久留米店のオーナーさん

今までは大体が、サラリーマンからの独立パターンしかなかったが、この方は異質だ。
フランチャイズ専門のコンサルタントとして既に独立していて、金沢屋の顧問をしていたそう。

法人によるフランチャイズ加盟での新規開業だ。

ただ、偏見もあるが、コンサルタントはコンサルタントでしかないので、自分自身で良くコンサル先のビジネスをやったなと思う。
インタビューにも書いてあったが、コンサルタント自身が実業で失敗したら終わりだ。

顧問として、金沢屋のビジネスモデルや数字が分かっていること、別の顧問先の障がい者雇用支援があって組み合わせてビジネスをスタートさせたのがきっかけとのこと。

金沢屋守山店のオーナーさん

独立の理由は、長男で実家のほうに戻らなければならなかったことだそう。
詳しい事情は分からないが、転職しようと思わなかったのだろうか。

LAN工事など全くの異業種からの独立だが、地元・地域密着で仕事が実現できる仕事だったことが加盟のきっかけのようだ。

金沢屋宗像店のオーナーさん

またまた、現れた法人の新規事業による開業。
偶然にも久留米店のオーナーさんが同級生だったことがきっかけだったよう。
既存事業が右肩下がりで、新規事業を始めなければならないという状況下の中、金沢屋に加盟することにしたそう。

長年のビジネスオーナーだけあって、事業はゼロイチだと考えていたそうだが、偶然が重なった同級生のオーナーさんの話からフランチャイズもありだなと思ったらしい。

確かに、会社であれば自前でサービスを始めようとフランチャイズを始めようと収益を上げることが優先事項であることは間違いないのでひとつの経営判断といえよう。

仙台北店のオーナーさんの叔父さんが先に金沢屋に加盟していたということに少しだけケースは似ているのかもしれない。

開業しているオーナーの独立の経緯<50代>

50代での独立は、(勝手な意見)人生の折り返しを過ぎて、更にもう一勝負に挑んでいく強い意志を持った人達ではないだろうか。
もしくは、家庭も落ち着き、子供も手がかからなくなりやりたい事に挑戦していけるラストチャンスに近い時期なのかもしれない。

果たして、どんな方たちが独立開業をしているのだろうか。

金沢屋仙台中山・八幡店オーナーさんだ

元々は、花・観葉植物などのフラワーデザインや装飾などを行い、営業部長を務めていたとのこと。時間をかけて経験と実績を積み重ねて来たキャリアなのだろう。

ただ、やっていた仕事が、デザインしたもの創ったものが飾って終わったら処分されてしまうことに違和感があったそう。

将来に亘って残っていくものを仕事としたいというのが、大きな動機らしい。

しかし、50歳を超えての独立で絶対に失敗できないというプレッシャーもあり悩んだとのこと。
悩んだ中でも先輩オーナーと1時間くらい話して、実際に生活できていることや大丈夫という後押しと、大事な家族である奥さんに理解を得るためにも、説明会には一緒に行ったようで、奥さん自身も納得してくれたことが最終的な決断の理由だったようだ。

金沢屋横浜栄店のオーナーさん

自分は体験したことはないので分からないが、ショッキングな出だしだ。
リストラされてしまったとのこと。ただ、前職の会社から再就職斡旋会社を手配してもらったとのことで2年間の猶予がある状況で、次の仕事を探していた最中、金沢屋と出会ったそう。

そもそも独立は迷っていたけれど、早期退職金のお金が手元にあったこと、再就職斡旋会社の契約が2年間あり、2年以内であればやり直しが利くということで、独立してみることを決断したらしい。

ある意味、余裕もあったのかもしれないが、長い仕事経験の裏づけから来る決断力を感じたオーナーさんだ。

開業しているオーナーの独立の経緯<60代>

60代といえば、60歳で定年退職、65歳から年金をもらう。
古い時代、大企業ならば退職金をもらって、残りの人生をゆっくり過ごしていくなんてことを考えてしまう。

しかし、全ての企業が多額の退職金をもらえるとは限らない。
そして、定年してから年金受給するまでの5年間は生活が厳しい状況になってしまうかもしれない。

そんな、様々な生活環境に置かれた60代が、どんな理由で独立するのだろうか。

金沢屋北和店のオーナーさんだ

元々は、産廃・一般廃棄物の回収会社の副社長だったそう。
先代の頃から仕事していたとのことだったので、長きに渡って活躍してきたのだろう。
前述した定年退職の年齢が社内規定なのか異なるようで、70歳まで会社にいられたらしい。
しかし、そもそもそこまで働く意思もなく世代交代を考えたそうだ。
そこから3年ほどかけて自身が退職しても大丈夫なように、若い世代へ仕事を引き継いでいったようだ。

そこから全くの異業種である金沢屋に出会うわけだが、昔から職人に憧れていたとのこと。でも、60過ぎてから、勤めたり弟子入りしたり何て言うことは難しいと判断し、自分の憧れに近い仕事である金沢屋で開業したそうだ。

説明会の様子

説明会と言っても、色々なケースがあるようだった。

  • 各エリアで会場に集まって説明を受ける
  • フランチャイズEXPOなどに参加して説明を受ける
  • 本部にて対面形式で説明を受ける

概ね、上記の三通りであるようだ。
金沢屋のビジネスモデルの説明、収益面、集客方法、その他オーナーさんの実績など丁寧に説明を受けている印象を持った。

また、中には本部の説明だけではなく、実際に開業し営業中のオーナーに話を聞いたりすることが出来たりしている方もいて、説明会だけでは納得できない、不安が払拭できない場合には情報収集を更に出来る環境であるようだ。

他のフランチャイズでも、もしかしたら同様のことが出来るのかもしれないが、金沢屋のオーナーインタビューから見ている限りでは、各オーナーの横のつながりが強く金沢屋としての協力体制が整っているように感じた。

営業や集客について

オーナーさん方の経験によるが、比較的営業経験がない人の開業が多いように見受けられる。
その場合には、顧客対応で最初につまづくケースがあるのかもしれない。
スケジュール管理や、問い合わせの受付、訪問時の提案方法などは未経験からスタートする場合には、多少の経験を積んでいく必要がありそうだと感じた。

その反面、テレアポなどプッシュ型のセールスとは異なり、チラシやポスティングを使った反響営業が大半を占めているようで、精神的に疲弊する営業活動ではなさそうだ。

チラシの反響については、エリアや時期によっても異なるのかもしれないが、0.5~1.2%の間で、肌感覚としては0.8~1%くらいのチラシの反響率がありそう。

とすると、金沢屋本部が推奨しているらしい「月に3万部はチラシを出しましょう」との数字で考えれば、24~30件くらいの問い合わせが来る可能性があるのだと思われる。

また、来た問い合わせから発注に至らないことは稀なようで、大半が成約になっているのが実情のようだ。

更に、2~3年目になってくると、過去付き合いのあったお客さんのリピーターが毎月コンスタントに発生し、顧客の積み上げで収益性が更に上がっていくことが特徴のようにも感じた。

技術的な面

加盟した後、本部で研修を受けるとのこと。
座学・実技・自主学習という感じか。

期間については、本部で1週間、店舗オーナーとの同行(と思われる)3日間の合計10日間ほどの研修があるようだ。

基礎的なことは、きちんと学べる体制があり、事前に実務研修に出ることが出来るので、実際に自分が開業する前に実務経験を肌で体感することが出来るので、スタートダッシュが切りやすいのかもしれない。

ただ、現場に出てみると、研修とは異なる環境で苦労したというオーナーも少なからずいるようだった。

本部のサポート

開業の際には、金沢屋本部のスーパーバイザーが同行してくれるらしい。
これは、非常に心強いシステムだと感じた。

全く未経験の仕事で、開業と同時に電話が鳴り始めて、問い合わせを受け付けて訪問し提案するとなると、正直できるのか不安しかない。

しかし、最初の段階で本部の人が来てくれるとなると、安心して開業できそう。

また、困った事態になった際には、本部に連絡をすれば適切にアドバイスをしてもらえたというオーナーもいるようなので、サポートは充実している可能性が高そうだ。

収入面に関して

色々なオーナーさんがいるようだが、一人オーナーだと平均的には100万円程度の売上が目安になりそう。

中には、年商1億円を超えているオーナーさんもいるようだったが、それはレアケースとしても、新規開業で平均ラインに2~3ヶ月でタッチしている人もいるようだし、リフォームを組み合わせて収益を底上げしているオーナーさんもいたり、チラシの量や出し方の工夫で100件近くの仕事をこなしているオーナーさんも存在した。

月間30~100件で、100~500万円程の売上を見込むことが出来、コスト面が若干不明瞭だったので収益ベースでは何とも言えないが、年商ベースで1200~6000万円を目指せるビジネスなのかもしれない。

また、(新規問い合わせ件数×顧客単価)+(リピート件数×平均顧客単価)=総売り上げとなるので、開業から営業期間が長くなればなるほど、高収益が見込めそうだと感じた。

デメリット

やはり、共通して寒い時期は、張り替え需要が減るようだ。
地域によっても、チラシの反響率が異なるなど、モデルケース通りには行かないことも現実問題としてはあるようだ。

そういった意味では、開業するタイミング、開業するエリア、集客方法の工夫、閑散期の対応方法は入念に準備した上で挑む必要がありそうだ。

成功の秘訣?

最初の段階では、営業(提案)に苦戦し、安い商品ばかりを売ってしまう、営業に在りがちな安売営業に走ると売上にも明らかにインパクトが出るようだ。

かといって、集客自体は1500円から張り替えられると謳っているようなので、良い商品をお客さんに選択してもらえるような商品知識や提案力が必要とされてくるように感じた。

また、チラシの反響率が悪く、途中で根をあげては駄目そうだ。
途中で、チラシを止めてしまうと、ベースとなる新規集客を失う事になり、売上を上げるどころか、逆ザヤになってしまうようだ。

うまくいっているオーナーさんの共通しているところでは、一度の反響で一喜一憂せず、通年通してチラシを出し続けることがコンスタントなお客さん獲得の秘訣のように見受けられた。

あとは、チラシ以外でお礼状を出したり、自分のところで出来る仕事を資料として用意し渡したりと細かなところを漏れずにやっていけば、成功確率も高くなるのではないのだろうか。

まとめ

様々なフランチャイズがある中で、今回は金沢屋について重点的に調べてみた。
オーナーからの評判は良く、実績も出ている店舗が多くあるようだ。

更に、全国で店舗も拡大していることから考えても、地道に展開していけば失敗するケースは少ないように感じられる情報が多くあった。

また、単なる張り替え業者ではなく、積み上げ式のストック方ビジネスモデルであること、少子高齢化時代、経年劣化による張り替え需要、日本特有の和室文化などを考えていくとフランチャイズの選択肢としては、悪いビジネスではないのではないかと感じた。

私個人としては、コンサル会社の新規事業として取り組んでいるということは、大きく魅力を感じた要因だった。内情を知っているはずのコンサルタントが結果を出せていないビジネスに手を出すはずがないからだ。

・技術力×集客力×提案力×営業年数

技術を蓄えて、集客ノウハウを蓄積し、提案力を身につけて、長い間営業を続けていくことを実現できれば、向こう10年くらいは安定的なビジネスなのではないだろうか。

フランチャイズなので、様々な評判や噂は付き物だが、ネット上で調べたオーナーの生の声で感じて理解できたのはこの程度だ。